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内地では
Name 名無し 18/03/21(水)16:36 No.3300
あゝ弟よ、君を泣く 君死にたまふことなかれ、 末に生まれし君なれば、親の情けは勝りしも 親は刃を握らせて 人を殺せと教えしや 人を殺して死ねよとて 二十四まで育てしや
堺の街の商人の 旧家を誇る主にて 親の名を継ぐ君なれば 君死にたまふことなかれ 旅順の城は滅ぶとも 滅びずとても何事ぞ 君は知らじな商人の 家の掟に無かりけり
君死にたまふことなかれ、 すめらみことは戦いに 皇自らは出でまさね 形見に人の血を流し 獣の道に死ねよとは 皇御心の深ければ もとよりいかで思されぬ
あゝ弟よ、戦いに 君死にたまふことなかれ、 過ぎにし秋を父君に 送れたまへる母君は 嘆きの中にいたましく わが子を召され 家を守り 安しと聞ける大御代も 母の白髪はまさりぬる。
暖簾の陰に伏して泣く、あえかに若き新妻を 君忘れるや、思へるや 十月も添わで別れたる 少女ごころを思いみよ この世ひとりの君ならで あゝまた誰をたのむべき 君死にたまふことなかれ。 |